番外・住吉記録〜京語が素晴らしいレッドライダーに育つまで〜
○月×日
今日は京語の父兄参観だ。
京語も小学一年生。幼稚園生の時より凛々しくなってきた。しかし、何故だろう。反抗的にもなってきた。
毎日楽しそうにしていた戦隊・ライダーものビデオ視聴も身が入らないようだ。
マイサンに一体何が?
父兄参観のプリントも、私にもサキちゃん(マイハニー)にも見せず、クシャクシャに握りつぶしてさらにご丁寧にシュレッダーにもかけているという周到さ。
どうしたんだ京語よ。
お父さんは、心配で心配で。
細切れを繋ぎ合わせて一枚のプリントにした時には、父兄参観という内容に驚いちゃったじゃないか。こんな大切なことを黙っているなんて! おかしいぞ京語!
今朝も、警戒するようにこんな話をしてきた。
「おとうさん。今日、しごとだよね? 会社、行くよね? 休みじゃないよね?」
ふっふっふっ。お父さんはちゃんと有給休暇をとっておいたぞ。お前の授業参観に行くために! しかし、ここは驚かせてやらないと。きちんとお父さんにプリントを見せておかなかった罰だぞ?
「もちろん仕事だ。京語も学校ちゃんと行くんだぞ! そして悪い奴らを見つけたらちゃんと正義の味方としてチェックするんだぞ!」
正義の味方たるもの。平和には常に気を使わねば。
「……。行ってきます」
何故か京語はげんなりした顔でランドセルを掴み、出かけていった。
「サキちゃん。最近の京語、どうしたんだろう? 悩んでるみたいだよ」
「この間の家庭訪問では先生、学校ではとても楽しそうにしていますって言っていたけど?」
「じゃあ元気がないのは家の中だけなのか?」
「やっぱり、あの子ったら悩みがあるのかしら……心配だわ、ヨッちゃん!」
「サキちゃん!」
私とマイハニーは見つめあった。
「ヨッちゃん。今日の授業参観、頑張って! そして京語の悩みを聞きだすのっ」
「もちろんだともサキちゃん!」
というような朝を経て、やってきた小学校の教室。
「っ!!!!!」
やっぱり、何か悩みがあるんだな……。あんなに悲壮な顔をして……。
まだ休み時間なので、すぐに京語は私のもとに走ってきた。ちょっと早く着きすぎちゃったな。うんうん。学校でもお父さんに会えて嬉しいんだな? 京語。
「……おとうさん。なんでいんの」
「なんでって、父兄参観じゃないか。プリント、あったろ?」
「ちゃんと細かくしたのに! まさかあれ一個一個つなぎあわせた?」
「当然じゃないか!」
「…………」
どうしたんだ? マイサンよ。この世の終わりみたいな泣きそうな顔をして。
「おとうさん」
「どうした?」
「帰れ」
「!」
なんてことだ! 京語が、父親に向かってこんな反抗的な! そうだ! これはきっと。
「怪人にでも操られてるのか京語! 敵はどこだ! お父さんがやっつけてやるぞ! 変身するからな!」
近頃、悩んでいるみたいだったのも、どこかの悪のせいなんだな? 何ということだ。父親失格だ!
「変身なんてしなくていいからあっ。なんでウチってこう……」
その日、父兄参観を中止してもらい、せっかく変身して校内を巡回したというのに、敵はあいにく姿を現さなかった。
年だから、ライダーモードはちょっときつかったな。変身も久方ぶりだった。たまにはりきると辛い。明日は筋肉痛だ。
○月□日追記
授業参観の日から今日で一週間。現在も進行中の大問題が発生している。
京語が私と口をきいてくれなくなった。
とても心配だ。